山城ごはん story

京都の台所を支える食の楽園、山城。そんな山城で「食」を育てる人たちをご紹介します。

京都辻農園

京都辻農園

辻典彦見えないところまで。土と稲に向き合い続けるこだわりの米農家。遠くからもお米を買い求める人がいる、という人気ぶり!

2016年11月、全国の米農家が憧れる「お米番付」において、最優秀賞8名のうち1名に選ばれた京都辻農園。この全国的にも価値がある賞を受賞したのは、京都府下のお米農家としては初めてのことでした。京都のお米農家でもそこまでできるという驚きのニュース。そんな受賞前の2016年9月、収穫前の田んぼに辻さんを訪ねました。

美味しいお米を育てるために

水に恵まれた八幡

八幡市には石清水八幡宮という名刹がありますが、石清水という名前の通り八幡は水に恵まれた土地です。宇治川・桂川・木津川や滋賀・京都の水が集まって淀川に合流する手前にあり、かつては巨椋池を中心とした湿地帯だった土地の西端に位置します。川を西に渡った大山崎にあるのがサントリーの大山崎工場。

そんな土地にあり、「水の恵みのおかげで美味しいお米ができる。」と辻さんは言います。

徹底した研究

辻さんは毎年、収穫後乾燥が仕上がったお米を毎晩自分で食べて、その味をチェックしています。それは、ベストな収穫の時期を見極めるため。そうやって取り溜めた自分ならではの膨大なデータに従うことで、自分が向き合うべき田んぼのその場所での収穫のタイミングを割り出しているわけです。

健全な稲に美味しいお米が宿る。

稲が健全に育つと美味しいお米を実らせてくれるというのが辻さんの考え。そこで編み出したのが、稲と稲の間隔をかなり広めにとって植える方法。光がしっかり入るようにすることで光合成を促進させ、一本一本の稲に栄養を十分に取らせるわけです。辻さんがこの方法を試してみて効果を感じたのは、夏に水を張った状態の時。水面からの日光の反射は稲に2倍・3倍の光を与える結果となるそうです。

「苗の時点では他のお米農家さんと比べると8割程度しか植えない」という辻さんですが、実際の収穫量は逆に「かなり多くなる」のだとか。さらに、「うちの場合は不思議なことに、より収穫量が多い方が美味しい」と言います。それが健全な稲に美味しいお米が宿るという辻さんの考え方が正しいことを証明しているのかもしれません。

健全な田んぼに健全な稲が宿る

そんな辻さんのお米作りのこだわりは、田んぼのメンテナンスにも表れています。収穫の様子を眺めていると、少しづつ収穫してはトラクターを降り、収穫後の田んぼに藁が均一にしかれるように丁寧に調整していきます。

「マニアックな話なのですが、、」と辻さん。お米を育てる表面の土は柔らかくするのが基本なのですが、さらにその下の鋤床層はしっかり固められた土で、この層が水を通しにくいために夏の水田は出来上がるわけです。ところが、この層が凸凹だと、肥料が一箇所に固まる原因になったり、均一なお米を収穫できない原因になりやすいそうです。そこで、辻さんは田んぼを歩いて土の感触を確かめ、鋤床層を均一にすることで健全な田んぼを保つ努力をしているわけです。

見えないところまでこだわるのは、すべては健全な稲を育てるため。「面倒臭い作業の繰り返しですけどね。」と笑う辻さんですが、「そこまでやってこそ美味しいお米ができるのだ」という自身の表れだと感じました。

こだわりの甘さ、香り

食感よりも「甘さ・香り・風味」といった「味」にこだわる辻さん。他の料理も美味しいと感じるように、後で甘さを感じることができるようなお米になっています。

粒がやや小さめの品種ではあるのですが、粒の選別をし直して、その中でもやや大きめの粒を出荷する、そんな手間を惜しまない辻さんです。

食べ方のポイント

洗いすぎは良くないのだとか。軽く一回研いで、一回流す程度。そのあとで出てくる白い成分は旨み成分と考えて良い、とのこと。本当にさっと洗うだけなのですね。。。

職人肌だった父親を追いかけて。

こだわりを持ってお米を育てていた職人肌の父親の背中を追いかけていた20代・30代の頃。そんな父親の作業一つ一つに意味があると知ったのは家業を継ぎ、自分で責任を持ってお米を育てるようになったから。「手間をかけると結果を返してくれる面白さが農業にはある。」「まだまだ一人前とは言えないけれども、やったらやった分だけ自分も成長できるように感じる。」

そう言う誠実な辻さんですが、多分ご自分でも知らないうちに、全国の中でもトップクラスのお米を生産するまでになっていたのです。

 

食を育て・作る人

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